
今回お話を伺ったのは、カフェ併設コワーキングスペース「OVER COFFEE HUB」を運営するOVER COFFEE 株式会社の中村恵久さんです。
OVER COFFEE HUBは、東京・吉祥寺に拠点を構えるカフェ併設コワーキングスペースです。カフェの心地よさ × 仕事の集中力 × 人とアイデアが交わる場—— この3つが重なり合うことで生まれる、「セカンドプレイス」としての価値を大切にしています。会員特典として、併設のカフェで毎月使えるコーヒーチケットがついてくるのが特徴です。
吉祥寺でスペシャルティコーヒーを提供する場所はまだ珍しく、チェーン店で作業する方が多いこの街で、カフェとコワーキングを融合させたOVER COFFEE HUBは、その独自性から注目されています。
OVER COFFEE HUBの理念・コミュニティ形成・空間設計・今後のビジョンまで。コーヒーを軸に、新しい文化と働き方の未来を創造するその全貌を深く掘り下げます。
「OVER COFFEE株式会社」
代表取締役 王彰
HP:https://www.overcoffee.jp/
スペシャルティコーヒーを提供するカフェとコワーキングスペースを融合させた「OVER COFFEE HUB」の企画・運営を行う企業です。カフェとしての居心地の良さと、仕事に集中できる環境を兼ね備え、多様な働き手が集まるコミュニティの形成を目指しています。
また、コーヒーを中心に据えたイベントや交流の場づくり、社会的なプロジェクトとの連携を積極的に行い、新しい働き方や文化の創造に挑戦しています。
中村さんの軌跡とHUBに込めた想い

── 中村さんがこのコワーキングスペース事業に参画されるまでの経緯を教えてください。
オーナーの彰さんとの出会いがきっかけです。彼と出会った時、すでにコワーキングスペース用の物件を確保しており、3〜4ヶ月後のオープンを予定していると聞きました。私自身、以前からコミュニティづくりに携わってきた経験があり、「いつかコワーキングスペースを手がけてみたい」という想いを抱いていました。
カフェとコワーキングスペースが融合した施設を、私たちの規模で実現できるだろうか——そうした挑戦への興味もあって、このタイミングで事業に参画することを決めました。
──コミュニティづくりに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
私は宮城県仙台市出身で、大学時代は地震と津波に関するゼミに所属していました。ただし、地震や津波そのものを研究するのではなく、災害後のコミュニティの回復や変化について学んでいたんです。人と人とのつながりがどう変わり、コミュニティがどのように再生していくのか——そうした人間関係の動きに焦点を当てて研究していました。
当時は1000年に一度の大災害なんて現実的ではないと考えていましたが、20歳の時に東日本大震災が発生し、実際にコミュニティの劇的な変化を体験することになりました。この経験が、私のコミュニティづくりへの関心の根底にあると思います。

── 「HUB」という名前に込められた意味について教えてください。
「HUB」には、人が集まる場所、交差点という意味があります。単に人が集まるだけでなく、ここを起点としてアイデアが生まれ、広がっていく——そんな場所を目指しています。
コーヒーを飲むためだけの場所ではなく、ここで出会いが生まれ、新しい何かが創出され、それが外に広がり、また戻ってくる。そうした偶然の化学反応を少し仕掛けられるような空間にしたいと考えています。
大学時代からコミュニティについて学び、カフェでもコワーキングスペースでもない、その中間領域をどう創造するかについて考え続けてきました。「普通のカフェで作業すればいいのでは」という声もある中で、私たちが提供する独自の価値を明確に言語化し、お伝えすることが重要な課題だと感じています。
誰もが「ホーム」と感じられる場所づくり

── カフェに掲げられている「Brew & Bloom(ブリュー・アンド・ブルーム)」とは、どんな意味ですか?
僕たちの価値観の核となる、内部的に共有しているテーマです。コーヒーを淹れるように、人の関係性もゆっくりと開いていく——人間関係って、いきなり咲くものではなくて、少しずつ育まれていくものですよね。そのイメージを表現できる言葉として「Brew & Bloom」に辿り着きました。

── 入り口の植物がとても素敵ですが、何かテーマがありますか?
建物自体が木の質感を活かした構造になっているため、植物を空間に自然に溶け込ませることをテーマにしました。演出は華道家の西拓人さんにお願いしています。
東さんには実際に山に足を運んでいただき、木や苔を直接採取していただきました。こうして一緒に作り上げた空間では、植物は単なる装飾品ではありません。植物そのものがこの場所の一部となり、空間が「生きている」ということをお客様に感じていただけるよう演出されています。

── カフェはどなたでも利用できるということですが、開かれた場所だからこそ生まれる交流や雰囲気はありますか?
カフェチケットはメンバーさんが自由に周りの方に渡せるようにしているので、ご家族がそのチケットを使ってカフェでコーヒーを飲みながら、コワーキングスペースで作業するメンバーを待つといった光景がよく見られます。
この吉祥寺という街で、みんなが「ここが自分のホームだ」と感じられるような空間を目指しているので、メンバーだけでなく、そのご家族も同じようにリラックスして過ごしてもらえるシーンを今後も増やしていきたいです。
── コワーキングメンバーの中でも、1階のカフェで作業する方もいらっしゃいますか?
実際に、コワーキングのメンバーでも、あえて1階の外の席で仕事をしている人がいて、それがとても面白いと感じています。静かな空間で集中したい人もいれば、カフェの賑やかさが好きな人もいて、柔軟な選択肢があることがこの場所の魅力の一つです。カフェがあることで、働き方そのものが変わってきているなと実感しています。

── 看板メニューのピスタチオラテはどのようにして生まれたんですか?
別事業で、トルコに住むシリア難民の方たちの雇用創出を支援するソーシャルプロジェクトに携わっていたのがきっかけです。トルコの特産品であるピスタチオを活かしたクラフトシロップを製造しており、トルコのエッセンスを日本で感じてもらえるようなものを目指して、2国の食材を掛け合わせています。
東京の他のカフェでも取り扱っていただいており、インバウンドのお客さんにも喜ばれています。
── 普段、カフェにはどんな方が来られることが多いですか?
本当に様々な方がいらっしゃいますね。ここはスタッフが多国籍で、海外の方が多い吉祥寺という街の特色にも合っているのかもしれません。日本人の方にとっては「海外っぽいカフェ」として映るかもしれませんが、海外の方にとっては「ちょっとしたホーム」のような空間になればいいなと思っています。
人気のスポットと、今後の展望について

── 利用者の方に人気の場所や設備はありますか?
特に人気なのは3階のテラス席です。夏場以外で気候がいい時期は、特に皆さん利用されますよ。夕方になると日差しも心地よく入ってきて、自然光の中で作業できるのは本当に気持ちがいいんです。

── イベントなども開催されているとお聞きしましたが、どのような企画をされているんですか?
定期的なイベントで、DJがBGM程度のボリュームで音楽を流す中、おしゃべりを楽しむ会などを開催しています。コワーキングのメンバーが友人を連れてきて、その場で自然と新しい交流が生まれるような流れを大切にしています。
先日は2階のスペースで音楽イベントを開催し、大きな反響がありました。私たちの強みは、わざわざ大掛かりなセットを組まなくても、もともとある設備だけですごくいい雰囲気が出せるところなんです。
実は、イベントのコンセプトを考える上で、以前訪れたイギリスのブライトンでの体験がすごくヒントになりました。そこで出会ったのが「Chatty Bus(チャッティ・バス)」という取り組みで、バスの中で誰とでも自由に話ができる企画なのですが、参加者が目印でバッジを付けているのがすごく面白くて、インスピレーションを受けました。
OVER COFFEE HUBでは、「Chatty Bus」のバッジのように、コーヒーが人々をつなぐ役割を担えればと考えています。

── 今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
今後は、コーヒーを中心に新しいカルチャーを作っていきたいと思っています。コンセプトとしては、コーヒーを中心に宿泊施設を展開したり、焙煎所を作ったりと、色々な繋がりが生まれるような形を目指しています。
具体的に動き出していることとしては、現在平塚にある焙煎所でコーヒー豆を焙煎していただいているのですが、そちらにOVER COFFEE HUBの焙煎所を作ってもらう計画が始まっています。そこでは、メンバーがクライアント先を訪問する際の手土産にできるような、特別なコーヒー商品の開発も進めています。
インタビューを終えて

インタビューを通して、中村さんの人と人との関係性を大切にする姿勢に心を打たれました。震災の経験を経て培われたコミュニティづくりへの想いが、OVER COFFEE HUBの空間やサービスにしっかり息づいていることが伝わってきます。
「Brew & Bloom」という言葉に象徴されるように、多様な人々が偶然出会い、刺激を受け合える交差点のような空間だと感じました。特に、トルコの難民支援と結びついたピスタチオラテのエピソードからは、社会や文化に目を向ける広い視野が感じられ、コーヒーを媒介にした新しいカルチャーづくりへの期待が膨らみました。
今回OVER COFFEE HUBを実際に訪れて、フロアごとに異なる雰囲気が楽しめる空間設計にも心地良さを感じました。
気分に合わせて場所を選べるのは、利用者にとって大きな魅力だと感じます。カフェスペースで作業できる環境が整っている点も、とても好印象でした。
この度は貴重なインタビューの機会をいただき、誠にありがとうございました。
OVER COFFEE HUBの詳細は、ぜひ下記のリンクからチェックしてみてください。
「こんな場所で働いてみたい」と思われた方は、実際にOVER COFFEE HUBでの1日体験をまとめた「1DAY OFFICE」も、ぜひご覧ください。
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